猫も熱中症(heatstroke)になる
猫は外に出ないので汗をかかないイメージですが、実は室内にいても肉球から汗をかいています。熱中症は高気温、高湿度、脱水が原因で起こり、過ごしている環境が適切でないと家の中にいても熱中症になることもあります。初期症状としては吐き気や下痢、食欲不振などがあらわれ、最悪の場合は命に関わります。
この記事では熱中症対策の食事に着目して、食事の工夫やしてはいけない食事の方法をご紹介します。
熱中症対策におすすめの食事の工夫4選
①量を減らし、回数を増やす
夏の暑い時期は活動量が減り、食欲不振になりがちです。いつも食べていたキャットフードにも興味を示さなくなり、食いつきが悪くなることもあるでしょう。
夏の暑い時期の食事は、1日の総給与量は変えずに、1食分の量を減らし、与える回数を増やしましょう。そうすることで胃腸への負担が減って消化がスムーズになったり、一気食いや早食いを防ぐことができます。
また、ご飯の回数が増えることでモチベーションが上がることも期待できます。
②水分をきちんと取る
熱中症にならないためには、水分をきちんと取ることが欠かせません。
猫はもともと砂漠で生活をしていた動物なので水を飲まなくても耐えることができる体質で、現代の猫もその名残で水を飲む習慣があまりありません。そのため、猫が水分を取るには飼い主さんの工夫が重要となります。
猫に水分を取ってもらう方法は下記がおすすめです。
- いつもより水飲み場を増やす
- こまめに新鮮な水に取り替える
- 自動給水機を活用する
- カツオ節などで取った出汁を薄めて飲ませる
- ペット用の栄養飲料を薄めて飲ませる
- ドライフードをふやかして与える
これらはすべて、人肌程度の常温で与えるのがおすすめです。
③ウェットフードやスープを与える
水をあまり飲まない猫の場合、ウェットフードやスープを活用することで水分を摂取することができます。
いつも食べているドライフードを少し減らし、ウェットフードやスープをトッピングして与えてみましょう。ウェットフードをトッピングした場合、器用にウェットフードだけを食べてドライフードを残すこともあるので、しっかりと均等に混ぜることがおすすめです。
またウェットフードは高たんぱくのものが多いので、筋力や体力アップにも効果的です。
④手作り食を与える
手作り食のメリットは、水分を摂取することができること、さまざまな食べ物を取り入れて栄養を取ることができること、量を調節することができること、保存料などの添加物が入っていないことです。そのため、熱中症対策としておすすめといえます。
次項で、熱中症対策に効果的な食べ物をご紹介します。
熱中症対策におすすめの食べ物
肉類 | ・牛、豚、鶏、馬、どれもたんぱく質が豊富 ・筋力や体力、免疫力のアップに効果的 ・皮膚や被毛、臓器など体のあらゆる器官に欠かせない |
さつまいも | ・カロリーは高いが食物繊維が豊富で、便秘解消に効果的 ・リコピンが豊富で抗酸化作用がある |
レタス | ・生でも食べられる ・約95%が水分なので水分摂取におすすめ ・ビタミンやミネラル、食物繊維がバランスよく含まれている |
トマト | ・リコピンが豊富で抗酸化作用がある ・抗酸化作用はがんや老化予防、免疫力アップ |
スイカ | ・ビタミンやミネラルが豊富 ・リコピンやβカロテンが豊富で抗酸化作用がある ・シトルリンが豊富で冷え性やむくみを解消する |
黒豆 | ・高たんぱく、低カロリー、低脂質で筋力アップに効果的 ・汗をかいて排出されたカリウムを補給できる ・アントシアニンが豊富で抗酸化作用がある |
ホタテ | ・生では食べられないため、必ず加熱処理が必要 ・食欲不振で不足するタウリンを摂取できる ・高たんぱく、低カロリー、低脂質で筋力アップに効果的 |
しらす | ・キャットフードやおやつに使用されることが多い ・ビタミンDが豊富で、歯や骨を丈夫にする |
熱中症対策でしてはいけない食事の方法
熱中症にならないためによかれと思ってした行動によって、かえって猫が体調不良になってしまうことも。してはいけない食事の方法をご紹介します。
食事量を増やす
猫は夏の暑い時期は体力の消耗を最小限に抑えようとするため、いつもより活動量が減ったり落ち着いて行動するようになります。その落ち着いた様子を見て、「体力や栄養を付けなきゃ!」といつもより食事の量を増やすのはNGです。
食事量を増やしたり体力を付けるのではなく、いつもの食事をきちんと食べてもらうことを意識しましょう。
氷水を与える
暑そうだからといって水飲み皿に氷を入れたり、キンキンに冷えた氷水を与えるのはおすすめできません。冷たい水を飲むと胃腸の温度が保つことができずに胃腸に負担をかけたり、腸機能が低下して十分に栄養を吸収することができない恐れがあります。
ウェットフードのみを与える
ウェットフードは食事と水分を同時に摂取することができますが、すべての食事をウェットフードにすることはNGです。ウェットフードは総合栄養食ではないので、食事がウェットフードのみだと栄養が偏ってしまいます。
その点、ドライフードは製造の過程で原材料を細かくしているため、ウェットフードよりも消化性に優れ、栄養価が高いといわれています。
ウェットフードを与える目的が水分摂取なのであれば、ドライフードにトッピングが最適です。猫の体調や体型、適正の摂取量などによってウェットフードとドライフードを使い分けるようにしましょう。
熱中症になりやすい品種
エキゾチックショートヘアやペルシャなどの短頭種は鼻が短く、上部気道が狭いため、呼吸による熱の放出が苦手です。
アメリカンショートヘアは肥満になりやすい体質であるため、厚い被毛によって熱の放出が苦手です。
長毛種は被毛が長く厚いので熱がこもりやすく、熱中症になるリスクが高い傾向にあります。猫は短毛種でも長毛種でも下毛(アンダーコート)を持っていますが、密集している下毛をブラッシングを取り除くことで通気性が良くなり、熱がこもるのを防ぐことができます。春から夏にかけてのブラッシングは、短毛種は2~3日に1回、長毛種は毎日を目安に行うようにしましょう。
そのほか子猫やシニア猫、肥満ぎみの猫、疾患を持っている猫は活動量や内臓機能により、熱中症になりやすい傾向にあります。十分に気を付けるようにしましょう。
まとめ
- 家の中にいても熱中症になることがある
- 猫が水分を摂取できるような工夫が必要で、ウェットフードやスープもおすすめ
- 手作り食は水分や栄養摂取、量の調節などができる
- 食事量を増やすのではなく、いつもの食事を食べてもらうことが大切
- 熱中症になりやすい品種の飼い主さんはとくに注意が必要