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キャットフード選びにおいて重視するポイントは家庭によってさまざまですが、共通して多くの飼い主が注目するのが、キャットフードのパッケージに記載の商品説明です。
しかし、見慣れない栄養素名やカタカナ表記の成分など、「一体どんな意味?」「猫の健康にどんな影響がある?」と疑問を感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、キャットフードのパッケージでよく見られる専門用語についてジャンル別に特徴や配合目的、また専門用語を知っておくメリットをご紹介します。
各専門用語の詳しい解説は、リンク先の記事をご参照ください。
専門用語一覧|キャットフードの種類
キャットフードは目的や体調に応じて総合栄養食、一般食、療法食などに分類され、それぞれ与える意図が異なります。主原料の種類、たんぱく質や脂質の含有量、栄養バランス、添加物の有無といった要素によって品質や猫への適性も大きく変わります。
用語 | 意味・解説 |
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総合栄養食 | 猫に必要な栄養素をすべて含むフード。水とこれだけで健康維持が可能とされ、主食として最適。 |
一般食 | 猫の嗜好性や食欲に配慮した補助的なフード。ただし総合栄養食のように栄養基準は満たしていないため、主食には適さない。 |
間食 | 嗜好性の高いフード。栄養バランスは不完全なため主食には適さない。種類はスナック、ペースト、フリーズドライなど多様。 |
療法食 | 特定の病気の管理や治療を目的としたフード。獣医師の指導のもと使用されることが多い。 |
ドライフード | 水分含有量10%以下の固形フード。歯ごたえがあるため歯垢の抑制や満腹感の維持にも役立ち、保存性が高くコスパに優れる。 |
ウェットフード | 水分含有量75%前後で、缶詰やパウチタイプが主流。嗜好性が高く食いつきが良い。水分補給にも効果的だが、開封後は保存が利きにくい。 |
セミモイストフード | 水分含有量25~35%で、ドライとウェットの中間的な食感。柔らかく食べやすいが、保存性はドライより劣る。 |
プレミアムフード | 高品質な原材料で栄養バランスや安全性などに配慮した高付加価値フード。明確な定義はないが動物病院や専門店で扱われることが多く、人気が高い。 |
ナチュラルフード | 人工添加物や化学合成成分を極力使用せず、自然由来の原料を中心に構成されたフード。法的定義はないため、成分表の確認が重要。 |
オールステージ(全年齢)対応フード | 子猫からシニア猫まで全年齢に対応したフード。AAFCOの成長期と維持期の両方の基準を満たす。多頭飼育や年齢不詳の猫にも便利。 |
グレインフリー | 小麦・とうもろこしなどの穀物を一切使用していないフード。消化器の弱い猫や穀物アレルギーの猫向け。高たんぱく・低炭水化物な傾向がある。 |
グルテンフリー | 穀物の中でも小麦などに含まれるグルテンを排除したフード。グレインフリーと混同されがちだが、米やとうもろこしなどグルテンを含まない穀物は含まれる場合がある。 |
専門用語一覧|栄養機能成分
猫の健康維持と生命活動に不可欠なタンパク質、脂質、繊維、ミネラル、ビタミンなどの栄養成分とは異なり、栄養機能成分とは特定の生理機能や健康維持を補助・サポートするために配合される成分です。
栄養成分は多くがパッケージに記載義務がありますが、栄養機能成分は任意表示が多いです。
用語 | 意味・解説 |
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プロバイオティクス | 乳酸菌やビフィズス菌など。腸内環境を整える善玉菌で、腸内フローラのバランスを整え、消化吸収や免疫機能をサポートする。プレバイオティクスと併用されることも多い。 |
プレバイオティクス | オリゴ糖やイヌリンなど。善玉菌のエサとなる成分で、腸内環境改善に寄与する。 |
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA) | 魚油や亜麻仁油などに含まれる脂肪酸。皮膚・被毛の健康や抗炎症作用があるとされる。 |
グルコサミン | グルコサミンは関節の軟骨を構成する成分で、関節の柔軟性や可動域の維持をサポートする。シニア猫や関節の負担が気になる猫向けフードに配合されることが多く、継続摂取で効果が期待される。 |
L-カルニチン | 脂肪をエネルギーに変える代謝を助けるアミノ酸誘導体。体脂肪の燃焼を促進し、筋肉の維持にも関与。肥満対策やシニア猫の活力サポートを目的に配合されることが多い。 |
抗酸化成分 | ビタミンEやC、ポリフェノール類など。活性酸素による細胞の酸化ダメージを抑える働きを持つ成分で、老化防止や免疫機能の維持に役立つ。 |
専門用語一覧|添加物・補助素材
キャットフードに使用される添加物は、栄養そのものではありませんが、保存性の向上・食感の向上・嗜好性の強化・見た目の調整などを目的に配合されます。
しかし、過剰な使用や目的の不明瞭な添加物には注意が必要です。とくに合成添加物に不安を感じる飼い主も多く、最近では「無添加」や「天然由来成分使用」といった表示が選ばれる傾向にあります。
用語 | 特徴・配合目的 |
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合成着色料 | 人工的な着色成分。猫は色ではなく匂いや食感で食を判断するため、猫自身には不要な成分。現在は合成着色料不使用の製品も増えている。 |
保存料 | カビや細菌の繁殖を防ぎ、開封後の安全性を保つために使用される添加物。安息香酸ナトリウムやソルビン酸カリウムなどが代表的で、とくにウェットフード製品で使用されることが多い。 |
酸化防止剤 | 脂質の酸化による劣化や風味の低下を防ぐために使用される。ビタミンEなどの天然系と、BHA・BHTなどの合成系がある。 |
〇〇ミール | チキンミール、フィッシュミールなど。動物性・植物性の原料を乾燥・粉砕・加熱処理して加工した粉状の素材。表示だけでは「良質なミール」と「低品質な副産物ミール」を判断しづらく、避ける飼い主も多い。 |
増粘多糖類 | カラギーナンやグァーガムなど。とろみや粘度を出すための天然由来の増粘剤で、ウェットフードの食感調整や具材の沈殿防止に使用される。 |
専門用語一覧|アレルギー対策のフード
食物アレルギーを持つ猫が食べるアレルギー対策キャットフード。皮膚炎や消化不良などの原因となるアレルゲンを極力除去し、体に優しい設計がされています。猫の症状に応じて、アレルギーの原因となる食材を避けつつ必要な栄養を確保できることが特徴です。
用語 | 意味・解説 |
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アレルゲン除去食 | アレルギーの原因となる成分を徹底的に排除したフード。食事療法に使用される。 |
低アレルゲン設計 | アレルギーが出にくいとされる食材や製法を用いた、一般的な対策表示。 |
食物アレルギー対応 | アレルゲンとなる食材を避けた設計のフード。皮膚炎や下痢、消化不良などの症状緩和を目的とする。 |
加水分解タンパク使用 | たんぱく質を酵素などで細かく分解し、アレルゲンとして認識されにくい形に加工したもの。食物アレルギーの猫でも反応しにくく、皮膚や消化トラブルの軽減を目的とするフードに用いられる。 |
シングルプロテイン | たんぱく源を1種類に限定したフード。アレルゲンを絞る目的で用いられ、食物アレルギーの診断や除去食として活用されることが多い。 |
専門用語一覧|尿路・毛玉ケアなど機能性フード
機能性フードとは、猫の健康維持や特定の体調管理を目的として設計されたキャットフードのことです。通常の栄養補給に加え、目的別に栄養設計がされており、一般的なキャットフードよりも機能性に重点を置いています。
用語 | 意味・解説 |
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尿路ケア(pHコントロール) | 尿のpH値を適正に保つことで、尿路結石(ストルバイトやシュウ酸カルシウム結石)の形成を予防・管理するフード。マグネシウムやリンの含有量を調整し、膀胱や腎臓の健康維持をサポートする。 |
毛玉ケア | 食物繊維を豊富に配合し、体内に溜まった被毛の自然な排出を促進。吐き戻しの軽減や便による毛玉排出を助けることで、長毛種や換毛期の猫に適している。 |
関節サポート | グルコサミンやコンドロイチンなどを配合し、軟骨の健康維持や関節の可動性をサポート。加齢や運動量の低下に伴う関節の負担に配慮した設計。 |
体重管理 | 脂質やカロリーを控えめにし、L-カルニチンなどの代謝サポート成分を配合。肥満予防やダイエット中の猫に向き、適切な満腹感を保ちながら栄養バランスを整える。 |
皮膚・被毛ケア | オメガ3・6脂肪酸やビタミンEなどを配合し、皮膚のバリア機能や被毛のツヤ・健康をサポート。アレルギー体質や皮膚トラブルを抱える猫にも有効。 |
ダイエットフード | カロリーや脂質を控えめにしつつ、満腹感を得やすい食物繊維やL-カルニチンを配合。栄養バランスを維持しながら無理なく体重管理を行える設計。 |
専門用語一覧|表記・基準
用語 | 意味・解説 |
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AAFCO | 米国飼料検査官協会が定めるペットフードの栄養基準。総合栄養食としての適正を判断する基準とされ、多くの製品がこの基準を満たすよう設計されている。 |
FEDIAF | 欧州ペットフード工業会連合の略で、ヨーロッパにおけるペットフードの栄養ガイドラインを策定。AAFCOと並ぶ国際的な基準で、ヨーロッパ製のフードでよく記載される。 |
ヒューマングレード | 人間が食べられるレベルの品質基準に適合した原料を使用していることを示す表示。法的な定義はなく、あくまで企業の自主表示。 |
成分保証分析値 | パッケージに表示されるたんぱく質、脂質、繊維、灰分などの栄養成分の「最低または最高保証値」。法定表示項目であり、栄養バランスを判断する基準となる。 |
無添加 | 一般に合成保存料・着色料・香料などを使用していないことを示す。ただし、「完全な無添加」は現実的にはほとんど不可能に近いと考えられている。 |
キャットフードの専門用語を知る4つのメリット

キャットフードに関する専門用語を知っておくことには、飼い主にとって4つのメリットがあります。
①猫に合ったキャットフードを選べるようになる
キャットフードのパッケージの見た目や広告文だけで選んでしまうと、猫に合わずに体調を崩したり、食べてくれなかったりという失敗につながります。
専門用語を理解することで、愛猫の体質やライフステージ、成猫用・シニア用・持病を抱えた猫向けなど、目的や健康状態に合った適切なキャットフードを判断できるようになります。猫は個体差が大きいため、パッケージの印象だけで選ぶのではなく、科学的根拠に基づいた選択が重要となります。
専門用語の理解は、猫の健康を守る第一歩となります。
②獣医師や店員とのコミュニケーションがスムーズになる
キャットフードの専門用語を理解していると、獣医師やキャットフード販売店の店員とのコミュニケーションが格段にスムーズになります。相談時に相手の説明を的確に理解でき、自分の希望や猫の状態も具体的に伝えやすくなります。
専門用語の理解は単なる知識ではなく、猫の健康について適切なアドバイスを受けるための“共通言語”です。相談の質が高まって納得のある選択ができるようになり、認識の違いや食い違いが起こりにくくなります。
③広告やパッケージの”言葉”に惑わされにくくなる
キャットフードの専門用語を理解していると、広告やパッケージに使われる表現に惑わされにくくなります。
例えば「無添加」や「ヒューマングレード」といった言葉は一見安心感がありますが、法的な定義が曖昧な場合も多く、実際の品質や安全性とは直結しないことがあります。
専門用語の正しい意味を知っていれば表面的なキャッチコピーだけで判断せず、原材料や成分表などの本質的な情報に基づいて、冷静かつ合理的にキャットフードを選ぶことができます。これは誤解や選び間違いを防ぐうえで非常に重要です。
④猫の健康を守る意識が高まる
キャットフードの専門用語を学ぶことは、飼い主自身の「猫の健康を守る意識」を自然と高めるきっかけになります。
専門用語を調べる過程で、どんな成分が猫の体に必要か、どのような栄養バランスが健康維持に役立つかといった知識が身につき、「ただ与える」から「考えて選ぶ」姿勢に変化します。
また、病気予防や食生活の見直しにもつながり、キャットフード選びが猫の未来を左右する大切なことであると実感できるようになります。
まとめ
キャットフードを選ぶ際は主原料や添加物、猫の体質、年齢に合っているかを総合的に判断することが大切です。迷ったときは獣医師や専門家に相談するのも安心です。
知識と冷静な視点を持つことで、愛猫に本当に合ったキャットフードを選べるようになります。